2010年8月25日水曜日

「中年クライシス」「大人の友情」

最近読んだ本:
『中年クライシス 』 『大人の友情 』
どちらも著者は河合隼雄さんです。

  

2冊とも面白かったですが、特に『中年クライシス 』のほうは一気に読んでしまいました。『中年クライシス 』は、河合先生が12編の様々な日本文学作品を引き合いにしながら、タイトル通り一般に「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」と呼ばれるものについて、人生の転換点である中年期に起こる色々なこころのあや、この年代に起こりやすい出来事などについて書かれています。
河合先生の本はたくさん出ているのですが、この『中年クライシス 』を読んだのはやっぱり私も中年クライシスな時期に来ていると感じるからです。おそらく2年前の私は、この本を読んでも今の私のようには響かなかったのではないかと思います。

最近、自分が怒りの感情よりも「ままならないのか・・・!? というような物悲しい気持ち」を抱くことが増えていることに気づき、「なんかこれって、映画『ロスト・イン・トランスレーション』でビル・マーレイが演じていた主人公みたい」→「あの主人公はミッドライフ・クライシスぽかった」→「じゃもしや私も!?」とハッとしたのです(笑)。
71年生まれの私はアラフォーど真ん中ですが、ミッドライフ・クライシスはある特定の年齢域で必ず起こるというよりは、40歳~60歳くらいの中で、人それぞれ人生のある時期に起きてくるものではないかなと感じます。


中年期の人生の危機は、若い頃に比べると、自己実現・自分の創造性を発揮するだけでなく、社会の中で人と何を分かち合っていきたいのか、いけるのか・・・ということがよりいっそう切実になってくるように思います。人は若くても老いても、その年代特有の重さを背負って生きているのですね。

でも、私は自分がいつの間にか、このようなミッドライフ・クライシスと言われる心理的な危機を理解出来るようになっていることを、嬉しくも思いました。自分を通して色々なことを理解していける、そして自分以外の人の気持ちもより理解できる機会が来ているのだなぁと。

『大人の友情』も、中年期以降にもう一度「友人づきあいとは何か」を振り返るきっかけになるような内容でした。