2011年7月14日木曜日

『素顔のダライ ・ラマ The Wisdom of Forgiveness』

『素顔のダライ・ラマ The Wisdom of Forgiveness』ビクター・チャン著 牧内 玲子翻訳

最近プライベートではこの本を読んでいました。図書館で借りて、とても感動したので2回読みましたがとても読みやすい本です。

30年以上にわたりダライ・ラマ法王から教えを受け交友関係を築くこととなった中国系カナダ人である著者が、ダライ・ラマの人柄や日常生活、法王の語るチベット仏教の実践のあり方などについて書いた内容です。

邦題は『素顔のダライ・ラマ 』となっており、この邦題も本の内容にピッタリだと思いますが、原題は『The Wisdom of Forgiveness(許す智慧)』で、この原題も本の内容を的確に伝えていると思います。というのもこの本を読んでいると「どうしてここまで人間は残酷になれるのだろうか」という惨らしいエピソードと、過酷な体験をしながら心から「許す」ことを選択した人々の姿、ダライ・ラマが繰り返し語る慈悲と相互依存の教えなどによって、「許す」ことについて自然と読み手が考えざる得ない内容になっているからです。

よく知られているようにダライ・ラマの国チベットは中国によって侵略され、数多くのチベット国民が殺害されました。そしてダライ・ラマは若くして亡命を余儀なくされ現在に至ります。この本には他にも南アフリカの平和活動でノーベル平和賞を受賞したデズモンド・ムピロ・ツツ大主教、北アイルランドのカトリックとプロテスタントの紛争で爆撃によって少年の時に失明した男性などが登場します。みな許すことを選択した人たちです。

そういえば、イエス・キリストも磔にされ鞭打たれながら、私達を心から許したのでした。

長年の修行や瞑想の成果によるダライ・ラマの豊かな人間性や智慧に圧倒されると同時に、法王の不思議な親しみやすさやチャーミングさ、いたずらっ子のような魅力も本書の随所に現れています。
この本は何気ないドキュメンタリーのようですが、後半法王がかなり長期にわたって体調を崩されます。それによって、魂は不滅でも肉体を持って出会うこの時は有限である事実にハッとさせられるのです。だからこそ最後の章で、すっかり回復した法王の、公務のない休日のリラックスした姿が描かれ締めくくられることに大きな喜びを感じます。この構成がとても良くて、また読みたくなるのです。

慈悲、非暴力、相互依存、空の概念などダライ・ラマの主要な教えも、著者や接見者に語る形でわかりやすく説明されています。



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